ユダといえばイエス・キリストに選ばれた”十二使徒”の一人でありな がら「”裏切り者”」として名高い。ところが、2001年に”ユダの福音書”の復 元と解読が始まると、その内容には、ユダは裏切り者ではなく、むしろイエス が最も信頼を置いていた弟子である事が示されていました。イエスを売ったと する裏切り行為もイエスが自らユダに命じて自分を売るように仕向けたとい う内容です。歴史は見る目を変えてみると当事者それぞれに事情や考え方 があり、悪者だとされていたものが実はとてもよい人であったり、善人や英雄 とされていた人がとても悪い面や弱い一面を持っていたりということはよくあり ます。 私はクリスチャンでもなく、ただ雑誌や新聞に書かれていた内容を興味本位 に取り上げていますが、人によってはこういった見方を不快に思ったり、神へ の冒涜と取られる方もあるかもしれません。決して他意は有りません。しかし 一つの古文書によって2000年もの間信じられていた事柄が180度転換され るという意識の転換は”ガリレオの地動説”にも似ていてわくわくします。 |
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十二使徒 イエスに宣教者(イエスの教えを広める人たち)として選ばれた12人の 弟子たち。 いわば、免許皆伝の高弟といえるでしょう。 その12人とはシモン・ペトロ(漁師)、アンデレ・ペトロ(漁師)、ヤコブ(漁 師;ゼベダイの子)、ヨハネ(漁師)、マタイ(徴税人)、フィリポ、バルトロマイ、 トマス、ヤコブ(アルファイの子)、ダダイ、シモンそしてユダ(イスカリオテの ユダと呼ばれる)である。ユダは裏切りの後に首をつって自殺したとされて おり、ユダのあとにマティアという人が後任に選ばれたと言う。 |
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福音書 福音書とはイエスの言葉や行いを使徒や直弟子たちが記録したものとされ ています。実際は後世の創作と考えられており、初期の教会における伝承を 元に紀元65〜95年ごろに書かれたと思われています。新約聖書に採用され たものはマタイ、マルコ、ルカ、ヨハネの四書のみですが、教会によって採用 されなかった福音書も多数あり、まさに「”ユダの福音書”」もその一つです。 |
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ユダの福音書 ユダの福音書に関しては、紀元180年頃ローマの司教が『ユダを崇拝す るグループが偽りの歴史を捏造している』という文書を残している。 1970年代にエジプトでユダの福音書は見つかった。その後20年以上に わたりその福音書は引き取り手が見つからないままエジプト、ヨーロッパ、ア メリカと各地を転々とし、最終的にチューリッヒの女性古美術商チャコスが買 取り、2000年よりスイスの古美術財団において文書の修復と英語への翻 訳を5年の歳月をかけて行った。 その結果は衝撃的なもので、それによればユダこそは英雄であり、他の弟 子たちと違ってイエスの教えを正しく理解していたとされている。イエスを ローマの官憲に引き渡したのはイエス自身による言いつけに従ったもので、 ユダはその行為が自分自身にもたらす運命をもすっかり承知していたとされ、 イエスも「お前は非難の的となるだろう」と警告していたと書かれている。 もちろん科学的手法によりこの文書が信用に足るくらい古いものであること が調べられている。 |
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ガリレオの地動説 それまでの宇宙観では、地球は宇宙の中心にあり地球の周りを太陽や星 や月が廻っているとする「天動説」が信じられており、教会もこれを支持して いた。1609年望遠鏡を製作したガリレオは天体の観察を元に実は太陽の 周りを地球が廻っているのだと主張。教会側はこの主張を禁止したが「それ でも地球は廻っている」といったとか。 |
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